戦争にふりまわされた小学校中学校時代
・・・動員そして戦災の体験など・・・

はじめに

  私が小学生・中学生の間は戦争に明け暮れしました。16歳の時に横浜の大空襲で、家を焼かれ、両親を失い、悲しい思いをし、その後いろいろつらい経験もし ました。大きな痛手をうけて、戦争の恐ろしさや馬鹿らしさを身をもって感じてきました。当時の悲しくてつらい日々、その後の痛手からどう立ち直ろうかとも がき続けたことを思い出すと、何か情けないような気持ちになってしまい、昔のことは思い出すまい、口に出すまいと思いながら一生懸命生きてきました。しか し、自分の人生も残りの時間がどんどん少なくなってくる今、やっと自分の戦時体験を語ろうという気持ちが強くなってきました。

  空襲の時に、ものすごい火の中で身の危険が迫るという怖さは体験していませんが、爆撃直後のまだ熱い風が漂っている街を夢中で家路へ急いだことは今でも瞼 に残っています。家が跡形もなく焼かれ、両親を失ったつらい思い出は消そうとしても消えることなく私の心に染みついています。一面の火に追われる夢、敵の 飛行機が自分に襲い掛かってくる夢、焼けたはずの場所に家が現れて門も玄関も開いているのに、呼んでも誰も出てこないというような夢など、空襲に関係した 夢をずいぶん見ました。

 また、工場や学校のサイレンの音が、空襲の警報を思い出すので、それを聞くと何か怖くて身体が震えるように感じたりしました。焚火を消した時の匂いに、空襲の焼け跡を思い出させられたりしてたまらないこともありました。

  若い人達は、戦争の怖さを知りません。世界の方々で、今も戦争が起きていることはニュースで誰もが知っていることです。でも、それを見たり聞いたりして も、何か遠くの出来事で、それは他人事としか思っていない人も少なくないでしょう。とごかの戦争に日本が巻き込まれたらどういうことになるかをまじめに考 えている人がどれだけいるでしょうか。戦争は戦場だではありません。戦争になったら何時自分の身の回りに何が起こるかわかりません。

 戦争は殺し合い、壊し合いです。日本が再び戦争に巻き込まれないようにすることが大切だとあらためて思っています。戦争がどんなに人々を不自由にし、不幸にさせるのかを少しでもわかってもらえたらと思います。

 なお、私の動員や戦災の体験を中心に書くつもりですが、当時の小学生や中学生の生活や、周囲の世間の様子などについての体験や見聞も触れるようにしました。

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